算数科の授業における考えの広がり,深まりとは?

前の記事の続きになります。

 

 

「算数科の授業における考えの広がり,深まりとは?」

これって,たてのつながりとよこのつながりなんじゃないかな?

と思っています。

 

まあ,広がり=よこのつながり

深まり=たてのつながり ですね。

 

 

よくある研究授業(4年の面積,5年の体積)は

よこのつながりを重視した授業じゃないかなと考えています。

 

よこのつながりとは,

本時の課題に対する解決策のつながりのことです。

 

例えば,L字型の面積の求め方では,

1 図形をたてに分ける方法

2 図形をよこに分ける方法

3 図形を長方形と見て,余分を引く方法

の3つが出てきます。

 

この3つが,いわゆる考えの広がりなわけです。

僕は,これを「よこのつながり」と呼びます。

 

一方,たてのつながりとは,

本時の課題を解決する際の前提となる既習事項のことです。

たとえば,僕が木曜に行った研究授業では,

課題は「はしたをLを単位にして表そう」で

解決策は「0.1Lを10等分する」でした。

(課題と解決策の整合性はここでは置いておきましょう)

 

この解決策「0.1Lを10等分する」について,

子どもが実際にする作業をスモールステップで考えると,

1 ワークシートの0.1L分の長さを測る(3cm)

2 測った長さを10で割る(3cm÷10=3mm)

3 ワークシートに3mmずつ目盛りをうつ

(4 はしたが目盛りのいくつ分か数える)

 

「10等分」という言葉は子どもたちにとって既習です。

「1/10」や「10で割る」というイメージが

子どもたちの中にあるだろうという想定です。

 

しかし,現実にはそうではないです。

できる子にとっては既習事項は知っていて(わかっていて)当たり前ですが,

算数が苦手な子にとってはそうではない。

 

いざ,「10等分すればいい!」とわかっても,

なかなか動き出せないものです。

 

できる子にとっては当たり前に見えている

(見通しをもてている)ことでも

苦手な子にとってはそうではない。

 

できる子がふつうにやってしまったこと

(思考過程)を

苦手な子にとって見えるようにしてあげることが

大切なのではないかと思います。(思考過程の可視化)

 

*「思考過程の可視化」の必要性については,UDの桂先生(筑波大付属小)も

著書の中で提案されていました。

 

できる子にとってかんたんに見えることは

言ってみれば教師にとってもかんたんに見えることでしょう。

 

この「実際の作業のスモールステップ」をどれだけ教材研究段階で見抜き,

「思考過程の可視化」を授業の中で位置づけるか

が大切なのだと思います。

 

教師や教室にいる一部の子からすれば

一見すると,あっさり答えが出るようだけど,

実は教室にいる少なくない子にとっては

その答えはけっこう深いところにあってよく見えないのです。

 

どうして見えないのかというと,既習事項が十分でないこと(既習事項のつまづき)や

作業の煩雑さ(ワーキングメモリの大きさ)が関係しているのでしょう。

 

それを見えるようにするために,

子どもたちの「わからなさ」を取り上げたり,

できる子の発言を吟味する機会をつくったりするのです。

 

教師がこの機会を大切にすれば,

かんたんに答えが見えていた子にとっては,

自分はこの答えを出すまでにこんなことをしていたんだと

メタ認知することができるのではないかと思います。

また,苦手としている子にとっては,

この課題の答えは,こんなに深いところにあったと

スモールステップや既習事項の必要性に

気づくことができるのではないかと思います。

 

 

 

 

このように考えると,

普段の授業でも考えの深まりについて十分扱うことができるのではないか

というのが僕の提案です。

 

ただの思いつきなので

ちょっと本を読んで理論武装したいと思います。